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2023/4/24

起業でもリモートでもない。サラリーマンの長岡移住と仕事探し

地方移住者の職業としてよく出てくるのは、IT関係のリモートエンジニアや独立起業するというもの。

そういったスキルがあると居住地の選択肢も幅が出てきます。

では、そうではない人が地方移住する場合、どうやって仕事を探せばいいのか、そもそも仕事はあるのか、気になりますよね。

「そうではない人」である筆者が実体験をもとに語ります。

ものづくりが盛ん!長岡の産業は農業だけじゃない

筆者は大学院中退後、社会経験ゼロで移住就職という結構ハードボイルドな経緯で長岡にやってきました。

一般社会で通用するスキルは少々の英語のみ。

当時、大手就活サイトに登録している長岡の会社はごくわずかであったため、ハローワークで職を探しました。

在学中に留学をした経験から「日本のモノを海外に紹介する」仕事を目指し、海外営業に焦点を当ててリサーチ。

ハローワークでざっくりと職探しをすると、介護職や電気工事士など資格を要する職が目立ちますが、海外営業などある程度分野を絞ると興味深い会社がヒットしました。

あまりイメージが湧かないかもしれませんが、中越地域は「ものづくり」が盛んな土地柄です。

古くは冬の農閑期の収入源として金属加工が広まった経緯があり、長く下請けをしていた会社が自社の営業力強化を目指し人材の確保を進めているケースが多くあります。

筆者も数社の海外営業職に応募し、3社目で製造業のご縁が見つかり、以来8年にわたりサラリーマンをしております。

未経験の筆者は少々苦戦しましたが、営業職などの社会人経験があればよりスムーズに仕事が見つかるでしょう。

現在は大手の就職・転職サイトに求人を乗せる会社も増えていますし、市が運営する長岡就職・転職・Uターンなび「でーjobら、ねっと」をはじめ、県のU・Iターンサポートも充実していますので、さらに仕事探しの窓口は広がっています。

移住者を積極採用する企業は伸びている

仕事で近隣企業と交流すると、業績を伸ばす会社の多くが移住者を採用していることに気付きます。

大きな会社で営業をしていた方、青年海外協力隊で海外にいた方などバックグラウンドは多種多様。

共通して言えるのは、そういった移住者の方が渦の中心となって会社に新たな風を呼び込んでいるということです。

綺麗ごとを抜きにして言いますが、どうしたって地方では広い視野と経験を持った人材は少ないです。

逆に考えると、新風が吹き込む機会が少ない中でもこれまでリーマンショックや不景気を乗り越えてきた底力のある会社が存在しており、実は伸びしろがある事例を多く見るのです。

筆者の勤める会社も様々な問題がありますが、その多くが「解決すべき事ははっきりしているが、人材や知識がなくてできていない」というもの。

解決すべき課題が分かっている仕事というのは、苦労が多くてもフィードバックがあり非常にやりがいがあります。

最初からイケてる会社というのももちろん素晴らしいですが、自分の仕事がダイレクトに響いて成長していく様を見られる会社というのもまた別の魅力があります。

地方、特に長岡にはそういった「打てば響く」会社がまだまだたくさん眠っているように思います。

スキルアップは自分から手を挙げよう

筆者は営業として就職後、元々興味のあったパソコンのスキルを習得して営業支援ツールを開発するようになり、現在では生産管理システムの構築をメインの業務としています。

たとえ好きな分野であっても、独学では限界のあるスキルアップ。

特に生産管理はネットで学習可能なプログラミングとは違い、かなり特殊な知識を必要とします。

都会も地方も同じことですが、中小企業ではそういった新しいスキルを社内だけで育んでいくのには限界があります。

しかし、長岡のある中越地域には実はとても便利な施設があります。

それが「中小企業大学校」です。

中小企業を対象に従業員や経営者に対する人材育成支援を行っている施設ですが、全国9校のうちの1校が長岡市に近い三条市にあります。

経営、営業、生産管理など様々なテーマについて講義を受けることができ、長岡でも多くの会社が積極的に活用しています。

中小企業大学校は場所を問わずどの地域の中小企業も利用できますが、やはり近場にあるというのは大きな利点。

それ以外にも商工会議所や県の主催する企業向けセミナーも毎週のように行われていますが、開催情報の露出は少なく感じますので、やはり自分から探しに行く姿勢は必要になります。

自ら手を挙げる人が成長できるのは都会も地方も同じ。

問題となるのはそういったやる気に会社がどこまでこたえてくれるかですが、決して都会に比べて長岡がその点で劣っているということはないと感じます。

長岡に貢献している「やりがい」がダイレクトに響く

最後に筆者が感じている、地方で働くやりがいについて添えておきたいと思います。

それは「地方に仕事を作っている」という実感です。

就職後少しずつ業務範囲を広げていき、プロジェクトも立ち上げ、新しくスタッフを雇用するようになったとき

「自分の仕事が地方に雇用を創出している」

という、大きな責任とやりがいを感じるようになりました。

縁あって移住してきた長岡はとても気に入っているのですが、決して「さびれててもいいから住み続けたい」とまでは思いません。

これからも長岡が魅力的な土地であってほしいという願いがあります。

そうした中、自らの仕事が雇用を生み、その従業員が家庭を持ったり、あるいは趣味の消費行動を通じて長岡の経済を回している。

目に見える形で地域に貢献している実感が得られるのが、地方でサラリーマンをする醍醐味であると筆者は感じています。

活躍したいサラリーマン求む!長岡に新風を巻き起こそう

長岡への移住は、普通のサラリーマンでも意外と可能性が広がっています。

移住に興味があるけど、起業やリモートエンジニアができるスキルがないという方でも、ぜひ一度就職サイトなどを覗いてみてください。

筆者も長岡の片隅で、活躍したい移住者をお待ちしております!

この記事を書いた人

新稲ずな
新稲ずな
東京都目黒区出身、2015年夫の出身地である長岡市へ移住。現在は県内製造業で社内SEをしています。自身の体験をもとに都会とのカルチャーギャップを4コマ漫画にまとめた、同人誌「ちほうとしぐらし!2021」を出版。移住後、長岡市の名物看板「松田ペット」にハマり、全国の松田ペットの看板愛好家たちの集いである「松田学会」を主宰するまでに。