関東の大学に進学後、新卒で新潟県長岡市の地域おこし協力隊としてUターンした佐藤美優さん。
佐藤さんは、「中高生・若者の居場所づくり」をテーマにしたイベント運営や、長岡に来た学生向けのツアーなど、若者の「やってみたい」を応援することを軸に活動しています。
一般企業ではなく「地域おこし協力隊」を選んだ理由をはじめ、外に出たからこそ気づいた長岡という街の魅力や協力隊としてのやりがいまで、等身大の本音を深掘りしました。
自然がすぐそばにあった子ども時代

── まずは、佐藤さんの生い立ちについて教えてください。生まれは長岡のどちらですか?
佐藤: 生まれは長岡市の寺泊の年友という場所です。寺泊でも山の方にある大河津小学校に通っていたのですが、中学から旧長岡市内の南中学校エリアに引っ越すことになりました。
── 山に囲まれた環境から市街地への引っ越しですね。驚きもあったのではないでしょうか?
佐藤: もう、めちゃくちゃカルチャーショックでした(笑)。小学校の時は1学年1クラスで、家の周りには信号もなくて、チャリで40分かけて駄菓子屋に行ったり、山で虫取りしたり、田んぼで遊んだりしていました。それが中学になると急に5クラスに増えて、放課後はアピタに行ったり駅前のゲーセンにプリクラを撮りに行ったり、最初は友達もいなかったのですが徐々に学校生活を楽しめるようになりました。
── 不安がありながらワクワクしていた様子が伝わってきます。長岡駅周辺の高校に進学されたのでしょうか?
佐藤: はい、文武両道を重んじる長岡大手高校に通いました。大好きな叔父が卒業生だったこともあり、頑張って勉強して入学しました。テニス部では部長を務めたり、長岡市の国際交流プログラムに参加したりと、本当に充実した3年間でした。
── まさに文武両道!振り返ってみて印象的なことはありますか?
佐藤:高校2年生のときに、長岡市が主催する国際交流プログラムに参加したことが一番の思い出です。ホストファミリーとして、アフリカから来た女の子を受け入れたのですが、「海外に行かなくても、世界と繋がれるんだ!」と感動して、その後も、プログラムに参加していた他校の高校生と協力してアオーレ長岡で国際交流のイベントを開催しました。

高校時代の国際交流プログラムでエスワティニ王国から来たノドミーと一緒に。「長岡にいても世界と繋がれる楽しさ」を知った原体験。
── 高校時代から非常にアクティブですね!なぜそこまで前向きに行動できたのですか?
佐藤: 当時はただ「楽しい!」という気持ちだけで動いていました。でも、活動を通して、地元企業の社長さんや周囲の大人が本気で向き合ってサポートしてくれたおかげで、たくさんのことを学ぶことができました。また、違う学校の友達と関わる中で「みんなの強みを活かして一緒に目標に向かう楽しさ」を知り、大学では経営やマネジメントを学ぼうと決意しました。
「都会の正解」への違和感。「自分らしく働ける場」が長岡にあった
── 大学進学で一度関東へ出て、そのまま都会で働く選択肢もあったと思います。就活の中で長岡へのUターンを考え始めたきっかけは何ですか?
佐藤: 関東で就職活動を進める中で、「いい企業に入って年収を上げることこそが正解」という一律の価値観に馴染めなかったことです。周りの空気に呑まれて「年収が高くないといけないのか」と焦る時期もありましたが、私にとっては、求めればすぐに自然を感じられたり、地域の人と顔の見える関係で暮らせたりする生活の方がずっと豊かだと気づいたんです。
── ちなみに、新卒で「地域おこし協力隊」を選んだのはどうしてだったのでしょうか?
佐藤: 長岡市の職員の方から、2023年にオープンした人づくりと産業振興の拠点「米百俵プレイス ミライエ長岡」で活動する協力隊の募集を教えてもらったのがきっかけです。募集要項にあった「世代間交流」や「学生の地域活動支援」が、まさに自分のやりたかった社会教育・まちづくりの想いとドンピシャで。

佐藤隊員の活動拠点である「米百俵プレイス ミライエ長岡」。図書館「互尊文庫」やコワーキングスペース「NaDeC BASE」を備え、若者や起業家、多世代が日常的に交わるホットなスポット。
佐藤: 「こんなに自分のやってきたことを活かして挑戦できる場所が地元にあるなんて!」と感動しました。倍率何百倍の大手企業を目指すより、長岡で自分にしかできない役割で働けることに価値を感じ、迷わず応募を決めました。
── 「収入や暮らしの充実度」についてはいかがですか?
佐藤: 都会でバリバリ働く同世代と比べたら、提示される給料の額面自体は少ないかもしれません。でも、満員電車や人混みのストレスから解放されるだけではなく、空いた時間で地域の取り組みに参加したり副業をすることで、自分の時間を大切にできています。家族や親戚の近くで暮らせる安心感も含めて、お金には換算できない「心の余裕」を長岡の暮らしに感じています(笑)。
外に出たから気づけた、長岡が持つ「ポテンシャル」
── 大学進学で一度地元を離れたからこそ気づいた、長岡の魅力や面白さは何でしょうか?
佐藤: 都会と比べると、長岡にはまだ選択肢が少ない部分もあります。でもそれはネガティブなことではなく、「これから自分たちの手で作っていける余白(ポテンシャル)がたくさん残されている」という長岡の大きな魅力だと思うんです。
── 「選択肢がない」のではなく「自分たちで作れる楽しさがある」ということですね。
佐藤: はい!完成された都会で大勢の中の1人として働くよりも、長岡のように「自分が動くことで街や若者の環境が少しずつ変わっていく手ごたえ」を得られる場所の方が、私たち20代にとって圧倒的に面白いと感じています。
長岡の中高生の「第3の居場所」づくりで感じるやりがい
── 今年の11月には「ミライエ長岡」東館に『中高生の部屋 ミット』がオープンしますね。佐藤さんもオープンに関わっているのですか?
佐藤: 運営スタッフとして関わっています。中高生向けのワークショップを開き、「ハンモックが欲しいなら模型で作ってみよう」「ヨギボーは何色がいい?」と、空間レイアウトや場所の名前まで、対話を重ねてゼロからアイデアを形にしていきました。

中高生が自由に自分らしく過ごせる拠点「中高生の部屋 ミット」。佐藤隊員もスタッフとして、若者の「やってみたい」に寄り添っている。
佐藤: 学校でも家庭でもない、安心できる「第3の居場所」が街の中心にあること自体が、長岡で育つ子どもたちにとって大きな財産になると思っています。
── 最後に、地域おこし協力隊としての今後の抱負を教えてください。
佐藤: 協力隊としての任期中は、自分の能力を最大限に活かしてどこまでできるかチャレンジする期間だと思っています。これまでは「自分のやりたいことをやる」フェーズでしたが、今は「長岡の若者や地域の『やりたい』を一緒に実現する」フェーズ。任期後のキャリアはまだ模索中ですが、悩みながらもワクワクする挑戦を続けていきたいです!
長岡市地域おこし協力隊が気になったら
宝島社『田舎暮らしの本』2026年2月号、「2026年版 住みたい田舎ベストランキング」では、地域おこし協力隊が多い自治体「全国2位」にランクインしている長岡市。
(隊員数27名:2025年10月末時点)
隊員の活動テーマも、集落での地域振興や農業等にとどまらず、観光、地元就活支援、eスポーツまで多岐にわたります。
この記事を読んで興味を持ったそこのあなた!
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🔗関連リンク
「長岡市地域おこし協力隊 公式Instagram」🔗https://www.instagram.com/nagaoka_okoshi/
「地域おこし協力隊の募集一覧」🔗https://www.city.nagaoka.niigata.jp/shisei/cate11/kyoryokutai/index.html





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