長岡まつり大花火大会の開催がいよいよ目前に迫ってきましたね!
人口25万人の長岡市に、2日間で36万人が来るといいますから、待ち構える方の気合も十分です。
でも、長岡に移住してきてから、そろそろ季節が一巡しそうなライター・中島、気づいてしまいました。
長岡って、夏だけじゃなくて一年中花火の音がしている、ということを!
もしや、地元民に聞けば、どこかで常に揚がっている花火の謎と、地元民しか知らない花火の楽しみ方を教えてもらえるのではないか!?
ということで、長岡のディープな情報を発信し、地元民から絶大な共感を集めている地元密着型インフルエンサーの三尺玉三郎さんにインタビューを決行!
今回は、観光メディアに載っているような「長岡花火の攻略法」ではなく、春夏秋冬、花火とともにある長岡での暮らしや、長岡市民は長岡花火の到来に何を思うのか、どう楽しんでいるのか、たっぷり聞いてきました。
ゲスト紹介:三尺玉三郎さんってどんな人?
今回お話を伺った三尺玉三郎(@sanjuaku_tamasavuro)さんは、新潟県長岡市在住のローカルインスタグラマー。


Instagramでは「長岡情報ガイド」として、雑誌やテレビでは取り上げられない超マニアックな話題や、長岡の知られざるまちの裏側を発信されています。
最大の魅力は、長岡にゆかりのある方なら誰もが頷く「あるある」による圧倒的な共感と、少しの教養、そしてときにはくすっと笑えるユーモア。

ひとたび投稿されれば、地元民からの「まさに!」「あるある!」と、熱いコメントも殺到。
長岡生まれ育ちで「長岡以外住みたくない!」と断言する長岡愛あふれる三尺玉三郎さん。
花火の魅力を発信する施設・道の駅「ながおか花火館」でお話を伺ってきました。

どこかで鳴っている花火の謎と「お祝い花火」のススメ
―― 三尺玉三郎さん、今日はよろしくお願いします!早速ですが、長岡あるある「長岡花火でなくても、花火が揚がっている件」について伺えればと思います。私は関西から移住してきたのですが、花火は夏の風物詩のイメージだったのが常識が覆されています。
三尺玉三郎: 土日の夕方なんかに「ドンッ」と音がして、夕飯を作りながら「あれ?今日何の花火かな?」って話題になったりしますね。仕事帰りも車を運転していると、なんの気なしに目に入ってきたり。そこから、家に帰って家族と「今日は、こんなイベントがあったらしいよ」という会話になる。長岡市の西側にある国営越後丘陵公園でも「長岡花火ローズファンタジー」や「長岡花火ハロウィンファンタジー」という名前で花火イベントをやっています。冬も、信濃川の河川敷で大規模な花火が揚がるので、春夏秋冬カバーされています。
―― 揚がってますね、けっこうな頻度で(笑)。


―― ある日、今日はどこで花火が揚がっているんだろうとネットで検索したら、長岡市のHPに掲載されている「花火打揚げ予定表」というものを見つけました。夏祭りはわかるのですが、「ハッピーバースデー花火」とか「お祝い花火」と書いてあって、誰がなんのために揚げてるの?と頭の中がハテナでいっぱいになりました。

三尺玉三郎: 実は、その「お祝い花火」をコーディネートしているのは、私の親戚なんです。
―― え!親戚なんですか!?
三尺玉三郎: 彼は長岡の日本海側の寺泊(てらどまり)という地域の出身で、地元を盛り上げたいという思いから、花火師の資格を取って、いろんな人の想いを空に打ち揚げています。
私はまだ利用したことはないのですが、子どもの入学や卒業、結婚記念日など人生の節目を花火で彩る活動に取り組んでいます。みなさんもぜひ記念日にはご利用ください。

長岡市民にとって、長岡花火とは?
―― 長岡の「花火」といえば、日本三大花火とも言われる「長岡大花火大会」ですね。長岡花火が、1ヶ月後に迫ってきた今の気持ちをお伺いしてもいいですか?
三尺玉三郎: 今の気持ちですか?かなりそわそわしていますよ(笑)。でもこのそわそわは今に始まったことではなくて、春からずっと続いています。毎年4月に長岡市民向けのチケット先行抽選が始まるのですが、チケットが「取れた、取れない」「なんで市民なのに取れないの!」という会話がそこかしこで繰り広げられます。
長岡の人って普段は控えめだけど、胸の内には花火に対する熱いものをふつふつとさせているんですよね。
―― 確かに、挨拶代わりに「今年チケット取った?」「どこで見るの?」って、毎日のように口にしていますし、聞かれます。市民の人は、花火は家からでも見れるから〜、と市外の親戚や友人のためにチケットを取っている人も多いですよね。
三尺玉三郎: 7月になると、信濃川の河川敷で会場設営が始まり、祭りへのそわそわが一気に加速します。会場の骨組みや足場が立ち始めたり、会場アナウンスのスピーカーが柱に立ったり、歩行者通路と河川敷を分けるネットが張られ始めたりするの見ると、今年もこの季節が来た!と思いますね。

―― 街の様子が変わってくると一気に実感が深まりますよね。長岡市役所のある「アオーレ長岡」でも、長岡まつりのスポンサーののぼりがズラッと並んでいたり、長岡駅にも「長岡大花火」と横断幕が掲示されたりして、市外から来る方も「お、もうすぐ花火なんだな」って感じられるようになりますね。


三尺玉三郎: 私だけかもしれませんが、「7月をどうワクワクできるか」で8月の花火がどれだけ意味のあるものになるかが変わる、と思って結構気合を入れて過ごしています。仕事終わり、夕方に1時間ぐらい長岡駅前を散歩するのが好きなのですが、7月は街の様子も、自分の心の持ちようも違いますね。
「綺麗だな」で終わらせない。花火に込められた慰霊の想いと復興の歴史
―― ちなみに、長岡花火が近づいてきて、三尺玉三郎さんの投稿も長岡花火関連のコンテンツが増えていますね。ただ、「花火のきれいな映像」や「花火大会の攻略法」などのキャッチーな投稿ではなく、花火に込められた歴史や精神性にフォーカスしている投稿が目立ちます。これには何か理由があるのでしょうか?


三尺玉三郎: そうですね、私が長岡花火の単なる「楽しみ方」をあえて声高に発信しないのは、明確な理由があります。それは、長岡花火が単なる「エンターテインメント」ではないからです。
―― どういうことでしょうか?
三尺玉三郎: 長岡花火の大会としての原形は、明治期に遊郭関係者が、千手八幡様のお祭りで揚げた350発の花火だと言われています。当時は「綺麗だね、楽しいね」という純粋なエンターテインメントでした。
しかしその後、戊辰戦争の激戦区となったり、太平洋戦争の長岡空襲で街が焼け野原になったという厳しい歴史を経て、人々は花火に「祈り」や「想い」を乗せるようになり、現在まで繋がれてきたんです。
―― 単なるお祭り騒ぎではなく、街の復興と人々の強い祈りが込められているのですね。
三尺玉三郎: ぜひ長岡まつりに行く上で知ってほしいのは、毎年、長岡まつり初日である8月1日の22時30分(長岡空襲が始まった時刻)と、翌日からの長岡大花火大会の冒頭に打ち揚げられる『白菊(しらぎく)』です。
『白菊』とは、長岡生まれの花火師である嘉瀬誠次氏がシベリア抑留を共にし、生きて帰れなかった戦友のために『白菊のように純白な花火を手向けたい』と打ち揚げた花火です。慰霊と平和を願う花火なんですね。
ここが、技術を競ったりするような他の花火大会との一番の違いであり、私が8月1日こそが、長岡まつりの本番だと思っている所以です。
―― きらびやかなスターマインやフェニックスと比べると色も白一色でシンプルですし、冒頭に揚がるので「花火大会が始まる合図かな?」と勘違いしてしまっている方も多いかもしれません。

三尺玉三郎: そうなんです。だから私は、あの花火は本来は拍手など似合わず、むしろ合掌して見る花火だと思っていますし、Instagramでもそう問いかけています。
コロナ禍で中止となった令和2年、3年の大会でも唯一打ち揚げられた花火がこの『白菊』でした。この事からも白菊という花火が持つ意味、白菊が長岡花火の核となる花火だとわかります。
―― その背景を知るだけで、花火の見え方が180度変わります。
三尺玉三郎: だからこそ、長岡花火を見た人が「綺麗だな、迫力あるじゃん」という表面的な感動だけで終わってしまうのは、すごくもったいない。一歩奥にある「見えない部分」を知ってもらうことで、花火が皆さんにとってもっと価値のあるものに変わる。
戦争を知らない世代にも、人を感動させる花火を入り口にして、平和の大切さや命の尊さに気づいてもらいたい。それが、私が花火の本質を発信する一番の理由なんです。
長岡花火後の長岡市民はどうなっちゃうの?
―― ちなみに、8月3日の花火が終わった後、長岡の皆さんはどうなってしまうんでしょうか?
三尺玉三郎: 一言で言うと……「セミ」です。
―― セミ?というと?
三尺玉三郎: セミの抜け殻になります。絶対私だけじゃないですよ、みんな抜け殻になる。だから4日の仕事が本当につらいんです(笑)。サッカー日本代表がブラジルに負けた時みたいな。「終わった…」っていう感覚ですね。
―― 燃え尽きるんですね(笑)。
三尺玉三郎: なので、8月4日は長岡市民にとっては「秋」です。でも、この祭りの後のちょっとした儚さや哀愁チックな気持ちを持ったまま、お盆に突入する。長岡花火で抱いた弔いの気持ちをそのままに、お盆にご先祖様をお迎えする。意味合い的には一緒ですし、無理なく日常に戻っていけます。

三尺玉三郎さんイチオシ!手作り花火大会「しんぐみ夢花火」
―― 観光客にはあまり知られていない、地元民だからこそ知っている、おすすめの花火大会はありますか?
三尺玉三郎: 一つ挙げるなら、10月に新組(しんぐみ)地区で行われる「しんぐみ夢花火」です。新組という場所は、戊辰戦争の激戦区だった「八丁沖(はっちょうおき)」のあるエリア。この花火大会も「長岡市北越戊辰戦争伝承館」の前の公園で開催されます。
さらに、大正時代には、全国の有名な花火大会で活躍するような花火師が30人くらい住んでいたという、まさに「花火のふるさと」なんですよ。そこで地域の連合町内会や周辺企業が一緒になって、10年ほど前からこの花火大会を始めたんです。
会場は広大な田園地帯が広がるロケーション。そんな中で眺める花火は長岡ならではと言えば最もらしいイベントなんです。長岡を築き上げてきた先人たちの思いも相まって、それもまた感慨深いというか。

―― まさに、花火の里で行われる花火大会なんですね。
三尺玉三郎: しかも、地元の新組小学校の子供たちが体験授業で自分たちで花火を作って、それをこの大会で打ち揚げたんです。さらに、打ち揚げ時のナレーションまで子供たちが担当!シートに寝そべりながら見るような雰囲気なんですが、花火玄人たちからは「この歴史の重みがある場所で揚げる花火には価値がある」と非常に評価が高いんです。
―― 子供たちが地域の歴史を継承していく、手作りの花火大会なんですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
夜、どこからか聞こえる振動に日常を感じ、春から夏は「そわそわ」を楽しみ、8月1日の白菊に静かに祈りを捧げ、2日・3日で長岡の底力を体感する。
また、寺泊のお祝い花火や「しんぐみ夢花火」のように、地域の人々の手によって大切に受け継がれるローカルな花火の魅力も底知れません。
長岡に住むということは、「一年を通じて、花火と共に生きる」ということ。
もしあなたが、長岡に住みたいと思い始めたら、長岡市移住定住相談センターの出番です。
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